異種接近交遊 Part.3『刺激』

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ふたりして他愛もないヲタクトークを交わしつつ、劇中、急にいなくなったと語られる登場人物の退場に、私は先日、急に越して行ったのアパートの住人を思いだした。 それは、階下に住む若いご夫婦で。 一度だけ、駐車場でコンビニ袋をポイ捨てする旦那さんを見かけたことがあった。 引っ越してきたのは、つい一ヶ月前。 なんで覚えてるかといえば、夜、騒がしいなと思ったら、家財道具を運び入れてるのを見たからだ。 まさか、とは思うけど───。 「あ。劇場版もあるんですね。続けて観てもいいですか?」 「……あのさ。その前に、いいかな?」 「はい?」 ライの、この無邪気さが逆に怖いというか、アヤしい。 きょとんと見返された私は、思いきって核心をつく。 「この前、越して行った若夫婦───」 「ああ、彼らみたいですよ、無秩序ゴミ出し犯。ジンさんが言ってました。 なので、ちょっと裏から手を回して【居なくなって】もらいました」 清々しいまでの、ライの笑顔の返答。 ……うん。そうかと思ったけど。 「裏って……何ルート?」 「まぁまぁ。そんな、ヤバい組織みたいな言い方しないで。 ちょっとアメリカの偉い人から、ちょっと日本のそれなりに偉い人に話がいって、そういう部隊の人たちが日々の正当な任務をこなしたってだけですから」
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