傘はいらない

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傘はいらない

キーンコーンカーンコーン。 放課後、 いつもと変わらない、下校のチャイムが鳴った。 そして外は........................ ──────〝雨〟が降っている。 私、川崎枝乃(かわさきえの)は。 そんな、雨の日に差す傘が好きだ。 〝ある1つの問題〟を除いては............... 「いやー、今日も降ってるねー、枝乃」 視線を向けた先にいるのは、私に話しかけてくる、 幼なじみの男の子、空岡利樹(そらおかりき)。 物心ついたころには、 よく遊ぶほど仲が良くて、いわゆる腐れ縁。 「...............って、どーせ傘持って来てないくせに」 「うん。よゆーで持ってきてない」 「余裕って、そういう時使わないんですけど」 昔からの付き合いだから、高2になった今でも、知らないことはないレベルなんだけど............ 利樹が、 〝いつも傘を持ってこない〟 そのことだけは、全く解明出来ないのだ。
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