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手を伸ばしても、
私なんて、相手に............
「..................梓葉、」
ん?あれ?
「とっ、智くんっ、」
「ん?なに?」
いやいや!ん?じゃないよ!
いま、絶対そんなんじゃないってば!
「〜〜っ、この手、なにっ、」
「んー。梓葉の手、握ってる」
説明されなくても分かる。
確かに智くんに私の右手は、テーブルの上で、
──────ギュッと、智くんの左手に握られているから。
ただ、まだ少しだけ冷静でいられるのは。
テーブル1つ分の距離があるからであって。
たぶん、それがなかったら、
ドキドキしすぎて、無理だと思うっ。
だから、そのドキドキを少しでも抑えようと。
「〜〜っ、智くん、」
「ん?」
「映画、」
「うん?」
「非常に良かった、です、」
今日観た映画、
『きみのくちびるは誰のもの?』の感想を伝えた。
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