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そして........................
あろうことか、
左手は私の右手と手を繋いでいるのに。
右手の人差し指で、
器用に私のくちびるに触れる智くん。
「〜〜っ、そ、れは、」
ダメだっ、これ、言葉にしていい......の?
そう、考えて迷っていると。
「ちゃんと答えて、梓葉」
まるで、
〝言うまではなにもしない〟
そうでも言いたげな、
智くんの言葉と、熱い瞳。
「〜〜っ、私の、」
「うん」
「私のくちびるは、
智くんのもの、デス、」
女優さんじゃないから演技なんて出来ないし。
不特定多数とキスなんかしないけど。
この人にしか、
くちびるを、渡したくないっていうのは。
──────智くんたった1人なんだ。
だから..................
「ふっ。かわいー、梓葉、」
そう言って身を乗り出して、
近づいてきた、智くんを受け入れるように。
「............んっ、」
そっと、目を閉じて初めてのキスをした。
fin.
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