120人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
目の前には、
健ちゃんが目を瞑っている顔。
私が言おうとした、
〝好きな人教えてよ!〟は声にならなくって。
「..................うるさかったから、塞いだ」
代わりに頭上から聞こえてきたのは、
いつもより、少し低い健ちゃんの声。
「〜〜っ、意味、分かんないし、ばか、」
なにもかも分からなくって、
そう言って、そのまま見上げれば。
「バカで結構。俺は小説読んで、
キスするならまつりって思ってただけ」
うん。すっごい、真顔で言ってる健ちゃんがいる。
「〜〜っ、好きじゃないのに?」
「いや、好きですけど?」
「じゃあ、〝好きな人〟って.........」
「うん。まつりのこと」
健ちゃんって、イジワルだし、
真顔で言うから、分かりにくいとこあるのに。
「〜〜っ、やばいっ、
それは、ドキドキ、しちゃう、」
根本は優しくって、暖かい人。
最初のコメントを投稿しよう!