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久々の訪人に少し緊張しながらも、一足先にこちらに到着した少女へぎこちない挨拶を投げかけてみる。
「……さくら、」
「…わたし、さくら、ここの木と同じ名前、、、。」
彼女は僕の挨拶に返事をする事無く、この丘に一本ぽつんと生えている目の前の木を指さして言った。
“へ、へ~、そうなんだぁ、、、”
“何なんだこの子は、ここに来るなり急に自分の名前なんて名乗って…。”
僕がひたすら彼女の予想外の反応にどう対応するべきか困惑していると
「は、はぁ、、もう~、置いて行かないでくれよ、さくら~。」
彼女から少し距離のあった父親もここに到着したらしい。
「…お父さん、本当にこれが桜なの?お話してくれたのと全然違うじゃん、ピンクで綺麗なお花が咲いてるんじゃなかったの?!」
さくらは少し苛立ちと悲しみを含んだ声色で父親を糾弾した。さくらからの糾弾が思いのほか真剣であったためであろう、父親は心底申し訳なさそうに答える。
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