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又もや、盗み聞きしている会話に一人ツッコミを入れてしまった。普段の自分とはまるで違うキャラの崩壊具合にさっきとは別の角度から慚愧する。まぁ恥じる気持ちはさておいて、父親の繰り出した苦しい言い訳にさくらがどう反応するのか心配していると、
「っ、わぁ、、、」
“?”
そこで、僕が聞いたさくらの声は予想とは大きく異なりまるで目の前に見える景色にたいそう感動しているかのようだった。
「す、すご~い!!!!!ホントにこれが私達の住んでる街なの?!」
さくらは今までの機嫌が嘘のように顔を上げ、目の前に広がる街の景色に目を輝かせながら欣喜として叫んだ。
“えっ、本当に感動してる?!”
一方の僕はというと、さくらの反応に只々困惑してしまっていた。それもそのはず、僕からしたらこの景色なんて毎日当たり前のように目にしてきたものだし、特に何か著しく変化する事もなくまして、緑なんて一つもない、見ていて退屈な情景そのものなのだ。そんな景色を見て、今更改めて感動しようなんてどだい無理な話で、当然万人が同じような感想を抱くものだと思っていた。
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