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少し前の機嫌が悪そうな表情から一変、今は満足げな顔をしながらさくらは答えていた。
「もういい時間だし今日はこの辺で帰ろうか。」
「うん!」
そういうと、件の親子は手を繋いで仲良く帰っていった。
“ほんとに、急に来て帰っていったな…。なんか、嵐みたいな親子だなぁ。”
特に何かをしていたわけではないのだが、久しぶりの訪人の勢いにどっと体力を使ったような気がする…。しばらくゆっくりして心を落ち着けようと思ったのも、束の間、少し後方からさくらがこちらへ叫ぶ声が聞こえた。
“なんだよっっ、雨から晴れはすぐまた雨ってことなんですかね?”
自分の落ち着く時間を邪魔された事に少しムスッとしながら、僕は声のする方を確認してみる。
「それじゃあっ!ばいば~いっ!!!!」
そこでは、さくらが自分の短い腕を精一杯伸ばしてこちらへ手を振っていた。僕が彼女の方へ振り返ったのを確認したのか、それともただ手を振るのに飽きただけかもしれないが、さくらはピタッと手を振るのをやめて、父のもとへ駆けていった。
“ぁ、ば、ばいば~ぃ…。”
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