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この桜のトンネルは自分の庭のような感覚だ。
幼いときからもう何度もこのピンクと白のたわわな花びらのトンネルを見上げてきたんだ。
小さいときは家族の車で、「わ〜っ」という歓声をあげて見上げた。
小学生のころは近所の友達と遊び道具やお菓子を持って歩いて登った。
年頃になればここはデートスポットになるから手を繋いで二人で見上げながら歩いた。
本当は桜なんて口実だったけどね。
結婚したら奥さんとふたりで将来の話なんかしながら見上げて登った。
赤ちゃんが出来て、その頃は目の前で花びらを見せたくて車ではなくておんぶして歩いて登った。
この100メートルほどの桜のトンネルは大勢の人の人生を見て来たんだろうな。
そして、桜の花が散ったあとも桜若葉の、その新緑の黄緑色に癒される。
若葉は明るい未来をイメージさせてくれるから昔からずっと好きだった。
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