必然

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佳那への質問攻めが一通り終わり、互いの近況報告に話題は移った。 「恵美はどうなの。最近。彼氏、出来た?」 「もうずっと居ないよ。一人暮らしが板について、お一人様人生もありかなって思ってる。」 「まあ、楽っちゃ楽よね。だけどさ、ときめき、欲しくない?てか、何ならときめき中なんだけど。」  凛子が腕を絡めてくる。紅潮した凛子の顔は、同性の私から見ても色っぽく感じた。 「ときめき中って何?この間言ってたカフェ店員さんの事?連絡先の交換したってところまでは聞いてたけど、その後どうなったの?」 「藤君は遠距離の彼女が居たから諦めた。遠距離でワンチャンいけるかもとかって、ちょっと卑怯で正攻法じゃないっていうか。」  凛子は頭で考えるより先に体が動いてしまうタイプだ。思った事も口走ってしまうタイプで何度も喧嘩をした事があるが、彼女の潔さが好きだし羨ましくも思う。 「じゃあ、ときめき中って何?きゅんとする事でもあったの?」 「めっちゃタイプな人見つけちゃったの。向こうの屋台でビールの売り子してたんだ。」 「恵美ちゃん聞いてよ。凛子さん、缶ビール買ってあるのに、売り子さんが気になって、二回も買いに行っちゃったんだよ。折角保冷剤沢山入れてビール持ってきたのに。」  通りで空き缶はないのに、酔っているはずだ。 「佳那、重いのにありがとうね。」 「いいのいいの。彼がここまで車で送ってくれたから。」 「彼氏持ちの余裕だ。」  職場とは違う、気を遣わなくていい友人との時間はあっという間に過ぎ、お花見会場の終了時刻になってしまった。 「ちょっと凛子、流石に飲みすぎ。タクシー呼ぶよ?歩ける?」 「凛子さん、彼が車で迎えに来てるから、乗って行く?」 「大丈夫大丈夫。佳那と家、真逆じゃん。それに佳那の将来の旦那様に醜態曝せないよ。恵美と帰るから、大丈夫。そんなに酔ってないし。」 「酔ってないは酔っ払いがいうセリフだよ。佳那、凛子は私が送るから、彼氏さん待たせちゃうと申し訳ないし、行っていいよ。また連絡するね。」 「恵美ちゃんもそう言うなら…。じゃあ、よろしくね。また会おうね。」
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