必然

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「ただいまー。」  智基に言われた事をやってみる。  手を洗い、コンビニの袋の中から飲み物とヨーグルトを取り出し、冷蔵庫へ仕舞う。袋にはチョコレートやスナック菓子がまだ入っている。 「ん?あれ?メロンパン、買い忘れた?」  袋をひっくり返すが、出てきたのはお菓子だけだった。  体の内側からぞわぞわとしたムカデが這う様な感覚に襲われる。  袋にメロンパンが入って無かったのに、どうして智基はメロンパンの話をしたのだろう。送別会の時に気付いていたのなら声を掛けてくればいいのに。そもそも私、部屋が一階って話したっけ?オートロックなのは外から見えていた?  智基のアルバイト、なんて言ってたっけ…。部屋を見回し、いつもの自分の部屋のはずなのに底なし沼に閉じ込められた閉塞感で酸素が薄くなった気がした。  すっかり酔いが覚めた体は、冷たくなっていた。
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