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⑨
「これは……」
不思議がるあたしを見て、弁天様が口を開く。
「そなたは太祝詞を、奏上したのじゃ」
「あたしが、『ミッシェル』を歌ったことですか?」
「うむ。それが、そなたの太祝詞じゃ。太祝詞を奏上したことによって、そなたの犯した様々な罪事はことごとく祓われた。罪事は、花びらが持ち去ってくれた。川の流れの中に、川は海に流れ全てを消し去ってくれる。そなたは、今、清められた」
「え、そうなんですか。たいそうな罪は犯してないとは思いますが、それが清められたなら、また前向きに生きて行けますよね」
「そうじゃ。罪とは自らを嫌ったり、恥じたりすることことから生じる。これが凝り固まり、そなたの心身、そなたの全存在を犯すのじゃ。だが安心せよ。ことごとく罪事は、散り去った」
「あ、ありがとうございます。そういえば、最近、なあんとなく体調が悪かったりしたんですよね。イライラしたりもあったし。今はスッキリしています」
あたしは、調子に乗ってガッツポーズをとったりする。
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