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人形に見えた小人は、白いワンピースを着た美少女だった。
小さな頃ままごと遊びをしたリカちゃん人形みたいに手足が細っそりしてる。
ボブカットの髪は黄緑色で、頭の半分を黄色のつぼみが覆っていた。もう少し遠かったら、黄色の帽子をかぶっているみたいに見えただろう。
私をじっと見据える瞳も黄色で、太陽の光に当たる部分は金色っぽく輝くのが分かるくらい、瞳が大きくてこぼれそうだ。
「誰かの落とし物? よくできてる……」
「ますます失礼ね。あたしは花の国に住む菜の花の妖精。何よ、こっちの世界の人間にあたしの姿は見えないって言ってたのに。カラスは適当ね」
「妖精? カラス?」
「花の国からここまで乗せてもらったのよ」
何が何だか分からないけど、現実離れしたサイズに色味、美しさから、花の妖精というのはするっと信じられた。
「な、何のために?」
「花の国でもうすぐ『花見』があるから、様子を見に来たの」
「花見?」
「ねえアンタ絵が描けるの? だったら私の絵姿を描いてくれない?」
「絵姿って、肖像画ってこと?」
「そう。あたしが『花見』で優勝できるように、ね!」
妖精は両手を腰に当てて胸をはった。
やっぱり何が何だか分からない。
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