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彩の用意した夕飯を食べ終えるところだった。
ガチャリと玄関の開く音がすると、バタバタと足音をさせてリビングに隼人が現れた。妙にはしゃいでいる感じがする。
「ただいまー、そろってんな、出かけるぞ」
「帰ってくるなりなんだよ」
翔が呆れた。
隼人はにっこりと笑って、テーブルを囲む一同を見回した。
「は、な、み。夜桜見に行くぞ」
俺は片手を上げて軽く振った。
「俺はパス」
「ジジ臭いこと言ってんなって。まだ俺らと同じ10代だろ」
花見嫌いの俺の反応はお見通しだったのだろう、隼人は彩を見た。
「彩、夜桜見たことあるか?」
彩はきょとんとした。
「よ、ざくら?・・・覚えてないから、見たことない、と思う」
「彩、夜桜見たいだろ?」
「見たい!」
隼人がにんまりとした顔を向けた。
「だとさ、都築。彩に夜桜見せてあげましょー」
「・・・・・」
なんだかんだで彩には弱い。でもそれは俺だけではない。
げんなりする俺をよそに、彩と隼人はハイタッチで盛り上がり、健と翔はいそいそと出かける支度を始めた。
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