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しかし……
『……今だ!!』
不意に魔導甲冑の姿が消えた。
「…………違う!?」
カーリィが気付いた時には遅かった。
甲冑は分解し、カーリィの周囲を取り囲んだと同時に、一斉に取り付いたのだ。
ラーヴィの狙いは的中した。
――カーリィは本気を出せば必ず踊る……
そして……
――接近戦で踊れば、それは[隙]となるはずだ!
『…………着装!!』
ラーヴィが叫ぶと同時に、甲冑の部位が次々と適した場所に着装されていく。
手甲や脚甲が、肩鎧が、そして胴鎧がカーリィを包み、留め具も自動で締まる。
最後は兜がカーリィの頭部を包んだ。
今、カーリィは魔導甲冑ドゥルガを纏ったのだ。
それは、当初から考えていたことではあった。
強引に着装させた人物を新たな体として乗っ取るために……
今やその目的は変わった。
カーリィを着装させたラーヴィは、すぐさま次のプロセスに移る。
『お前の精神構造、深層心理……全部覗かせてもらうぞ!!』
それは更なる賭けだった。
自らを[人の身]に堕としたとは言え、相手は女神である。
もし、読みが外れてその精神構造が[女神のまま]だとしたら、人の精神では耐えられるわけがない。
それは、特殊な精神体と化したラーヴィとて変わらない。
それでも……
『[心の矛盾]を突けば……闘争に対する[悦び]を抑制できれば……!!』
そう、ラーヴィの[策]とは自らをカーリィの[制御装置]とすることだった……
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