女神カーリィ対魔導甲冑ドゥルガ

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   その苦労の甲斐もあり、ひときわ大きな曼荼羅に辿り着いた。  それは、大きさだけでなく[造り]も他の曼荼羅と異なっていた…… 『この曼荼羅は、明らかに[外部]から組み込まれたものだ……』  曼荼羅の中央には、複雑な文様に囲まれた、赤と青に色分けられた二つの水晶柱が収められていた…… 『やはりこれが、[矛盾した二つの感情]……』  あくまで、ラーヴィ視点に[変換された]光景である。  その視点によって見えるものは、淀んだ[赤い水晶柱]の輝きが増し、清らかな[青い水晶柱]を飲み込もうとしている光景だった…… 『……これは、[植え付けられた闘争心]が、娘の[本来の心]を吞み込もうとしているのか……』  それぞれの水晶柱、その周りでは、複雑に絡んだ文様をなぞるように、たくさんの光の玉がこれまた複雑に点滅しながら走っている。  中には火花を散らして[焼き切れた]文様も…… 『矛盾する心に耐え切れず、回路そのものが暴走している……』  状況は把握した。  元凶である曼荼羅、明らかに後付けである[赤い水晶柱]を取り除けば、確実にこの暴走は収まるだろう。  しかし、魔女技師と呼ばれていても、所詮ラーヴィは人……  [実在]するものならばともかく、精神世界に[概念]として存在する[神代の時代に作られた魔導回路]を解体することなど出来はしない……  そしてそれは、最初から予想されていたことだ。
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