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しかし、快進撃はここまでだった……
「……何!?」
突如、ガスパールの剣にひびが入り、そのままパキン!と音を立てて折れてしまったのだ。
「……私の聖剣……〈シンシアライト〉が!?
……これとて先祖伝来の銘品なのだぞ!!」
『……皮肉な名前の剣だな。
それなりの業物みたいだが、流石に〈無尽の武器蔵〉の武器とここまで打ち合っていたら、刀身か持たないだろうねぇ……』
これまで静観していたラーヴィが呟く。
『剣がなければ奴の戦う力も半減……降参しなさそうなら、ここで決めてしまえ』
冷淡に告げるラーヴィだが……
「…………」
ほんのわずかだが、考え事をしたのち、カーリィは、何故か一振りの長剣を現出させ、ガスパールの元に投げつけた。
「こ、これは……?」
地面に突き刺さった、自分好みの長剣に戸惑う近衛騎士に、
「……丸腰の人に刃を向けるのは気が引けます」
と、その剣を手に取るよう促したのだ。
『…………おい』
意図が読めず、ラーヴィも困惑する中、ガスパールはすがる思いでその剣の柄を掴む。
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