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――どういうつもりか知らぬが、その[情け]を私は利用するだけだ……
剣の握りが手になじみ、心の中に湧き上がる不思議な闘争心……
しかし同時に不安もよぎる。
――だが、私もあの小娘に操られる……?
先の装甲兵士を思い出し、一瞬手放そうとするも……
――いや、私には強い意志がある……この闘争心もろとも、私自身のために活用させてもらうぞ!!
ガスパールが剣を正眼に構え、カーリィもまた、曲刀二振りを胸の前で交差させる。
『止せ、剣の真っ向勝負じゃ勝ち目はない……!
奴の腕前で〈武器蔵〉の剣を振るわれたら、ドゥルガの装甲とて破られるかもしれないんだぞ!!』
しかし、カーリィは無言で突っ込んでいく。
左半身の姿勢であり、かつ、防御も考えない……
そして、まるで殴りかかるように……
面頬に隠れ、その表情は見えない。
「素人丸出しじゃないか……私に情けを掛けたこと、後悔するがいい!!」
ガスパールは手にした剣を正眼から上段に構え直し、大きく振る。
カーリィが繰り出す刀より遅れて動いたにもかかわらず、その斬り付けは早かった……
『……カーリィ!?』
ラーヴィが慌てて介入しようとするも、遅かった。
「終わりだ!!」
ガスパールの剣、その刃は止まることなくドゥルガの装甲を易々と斬り裂いた……
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