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昨夜、〈魔女技師ラーヴィの工房〉入り口前――
ラーヴィが取り急ぎ工房の制御システムを応急処置した後、カーリィは急ぎ街へと帰ることにした。
改めて拘束し、装甲兵士に見張らせていたとはいえ、彼らと一晩過ごすことが耐えられない上に、何よりその工房自体、人が過ごすための作りになっているわけではないのだ。
因みに、逃げ出していた傭兵たちも御者の老人とともに工房の外で待っていた。
幸運にも、傭兵は記憶消去を免れていた。たまたま魔術師がシステムを掌握した際に、一度すべての罠が停止したタイミングでエントランスを出たようだ。
そして逃げだしたものの罪悪感に駆られたのか、一人残されていた御者の老人を守りつつ、カーリィの脱出を待っていたらしい。
「嬢ちゃんなら、無事に戻ってくると思ったよ」
「あれは戦略的撤退……体制を整えて改めて攻略するつもりだった」
「女神なんちゃらのお導きだ」
などと云い訳をしていた彼等だが、引き連れていた装甲兵士を見て悲鳴を上げたのは言うまでもない。
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