鎧装踊姫カーリィ ――刀の少女と魔女の鎧――

帰還……そして新たなる冒険へ……

　やがて……
　縛られ馬車に部下共々乗せられようとしていたガスパールだが、
「……えぇい、離せ!!」
　と、取り押さえようとした装甲兵士を振り切り、甲冑姿のカーリィに話しかける。
「……私が工房を欲したのは、自らの野心の為だけではない……
　私は常々、この国の未来を憂いでいた……
　安定した平和は慢心を呼び、やがて腐敗に堕ちる……
　この国を密かに狙う国々に囲まれ、国内でも魔物が徘徊する状況が続けば、いつかこの国は滅びてしまう事は必須である……
　現状を変え、来る滅びの日に備える為には、私が力をつけ、王になるしか道はない!!」
　呟くような声はやがて演説の如き声量となり、そして……
「カーリィ……私の同士になれ!!
　その鎧に宿る魔女技師ラーヴィとともに我が元に来れば、大願成就の暁には相応の栄誉と地位を約束しよう……
　〈魔女技師の工房〉の全生産力を開放し、［動く甲冑］の軍団に〈武器蔵〉を装備させればまさに無敵の軍隊となろう……
　神さえ恐れる力を以て、共にこの世界の王になろうではないか……!!」