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その隣では……
「……で、どこまで話したっけ?」
「ガスパールって人は本当に近衛騎士だったんですか?
……て、話です……」
と、リアナとカーリィがそれぞれ酒と料理を挟んで顔を突き合わせていた。
この日はマスターが特別に、カーリィの故郷の味タンドリーチキンを沢山用意してくれた。この辺りでは高価な香辛料をふんだんに使う上に手間もかかる料理なので、こんな時でなければ食べられないものだった。
因みにカーリィは武装を解き、兜以外を連れてきた装甲兵もろとも無限函に収納している。
「ギルドの情報網で色々調べてみた結果だけど、確かにガスパールは近衛騎士で間違いないと言う事ね……」
間にカップのワインを一口含み、喉を湿らせて話を続ける。
「おかげで追跡隊を編成するのも大変だったのよ……
そもそも行き先が〈魔女技師ラーヴィの工房〉っていう時点で嫌がられるのに、[貴族を敵に回したくない]ってごねる冒険者を説き伏せるのに苦労したんだから……」
「そんな立場の人が……なんで、こんな事件を起こしたのでしょう……」
リアナの話でガスパールの身分が詐称ではないことは理解しつつも、彼の行動には納得しかねるカーリィ……
「やっぱり、[国を憂いで]のことだったのでしょうか……」
そう言いつつスパークリングワインに口をつけるカーリィだが……
「そんなわけないじゃない」
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