48人が本棚に入れています
本棚に追加
そして宴もたけなわ――
やがて深夜となり、リアナもろとも店を出たらカーリィ――
春先とは言えまだ冷たい風を受け……
天空高く浮かぶ満月を見上げながら……
「私はやっぱり知りたい……
私の両親……
私が捨てられた理由……
私の中にある〈無尽の武器蔵〉の意味……
そのためにも、冒険者としてもっと強くなりたいんです……」
「ま、できる限りの応援はするけど、無茶はしちゃだめだぞぉ……」
そんな決意を固めるカーリィの後ろ姿を、少し心配そうに見つめるリアナ。
その眼には親友だけでなく、その背に負われた箱の上に乗る兜……
「(大丈夫かなぁ……あんなのと一緒で……)」
『[あんなの]とはなんだ、[あんなの]とは!?』
「地獄耳!?」
そんなやり取りを、天空の月はどう思うのだろうか……
もっとも、夜空に輝く星々から見下ろした夜の街もまた、人の手による魔法の灯で銀河のように光っているのかもしれない……
その光の中では所詮、今は人でしかないカーリィもまた、小さな存在でしかないのだろう……
最初のコメントを投稿しよう!