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「言っとくけど俺もお前と一緒で負けず嫌いなんだよな」 「え、主任が?」 主任は いつだって平和主義で 社内でも揉め事が起こるたびに 中立を保ち平和的な解決法へと導く人。 おかげで 主任がうちの部署に 配属されてからは平和な日々が続いている。 「……そうだな、あと加えて言うなら欲しいものは絶対に手に入れる主義。だからほたる、お前も覚悟したほうがいいぞ」 「か、覚悟?」 抱きしめられていた腕が緩み ゆっくりと主任と私の身体は離れたけれど いまだに 主任の顔は近い距離にあり 主任の整った顔が 直視できずに顔を逸らせば両手で 私の頬を包み込み強制的に視線を合わせられた。 また、あの まっすぐで射抜くような瞳。 その瞳に 見つめられると 私の身体はまるで 魔法にでもかかったかのように 微動だに動かなくなり 主任の瞳から一瞬たりとも目を背けられない…… 「ほたるのこと、絶対に手に入れるから」 そう言った 久城主任の言葉も表情も 自信に満ち溢れていて ……否、自信しかないように見えた。 .
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