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私の話を一切聞かずに 主任はふたたび私へとそう提案してきた。 「今日土曜だし」 たしかに 今日は土曜日で仕事は休み。 だからって そんな急に言われても 心の準備も まだ全然できてないし それにそもそも今の 状況だってそこまで理解してないのに 「お互いを知るには一緒の時間を共有しないとな」 「お互いを知る……」 「じゃあ、決まりな」 「え、あっ、ち、ちょっと待ってください、私はまだ」 「異論は認めない。準備してくるから待ってろ」 部屋に ひとり残された私は 力なくベッドに横たわった。 ……知らなかった。 変なところ 優柔不断な私とは違い 久城主任は決めたら即行動パターン。 相手が返事に迷い悩んでる 隙に相手を言いくるめて主導権を握る。 主任との 付き合いは長いけれど 上司と部下の関係だった時には 見えなかった久城主任の新しい一面だった。 .
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