204人が本棚に入れています
本棚に追加
「自分の仕事もあって、それで」
「あのね私は言い訳が聞きたいんじゃなくて、どうして早めに教えてくれなかったのって聞いてるの」
「だって、だって」
「え、ちょっと!!」
肩を振るわせながら
シクシクと涙を流す派遣社員の女の子。
「また、やってるよ」
「さすが、ハガネの高城だな」
「……可哀想に。あんなにか弱い子泣かせちゃってさ」
「今月で何人目だよ、可哀想に」
なぜか
フロア内に響く
私へのアンチな言葉の
数々と辺り一面に漂うアウェー感。
側から見たらきっとか弱い女の子を
虐めてる最低な女にでも私が見えたのだろう。
「……次から気をつけてね」
「は、はい、すみませんでした」
いまだに
私の前でシクシク
メソメソと可愛く泣いている
派遣社員の子からファイルを
受け取りこの仕事から取り掛かることにした。
別に彼女のことを
虐めているわけではない。
ただ
彼女のために
次にまた彼女が同じ失敗を
繰り返さないように
教えようとしていただけなんだけどな……
.
最初のコメントを投稿しよう!