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「あぁ、明日は会社かぁ」
ベッドに潜って、健人は浮かない声を吐いた。
「気が重いな。由宇くん、代わりに出てくれないか?」
「何をバカなこと、言ってるんですか」
僕は楽しみですよ、と由宇は身を乗り出して、隣に横たわる健人に圧し掛かった。
「完璧なセレブファッションで、吉井 美咲を驚かせて、悔しがらせるんです!」
「うん。そうだね……」
健人は、由宇が語って聞かせた、美咲への復讐計画を思い返した。
『健人さんはまず、お金持ちになりましょう』
『人間は普通、お金があれば幸せだ、と思いますよね』
『お金持ちな健人さんの姿を、吉井 美咲に見せつけるんです』
まだ実感はわかないが、自分は確かに由宇の働きで、富豪になった。
しかし、と健人は首を捻った。
「お金持ちになったから私は幸せ、という感じじゃないんだ」
「えっ?」
「由宇くんが、私の隣にいてくれる。これだけで、もう何も要らないんだよ」
「あの、その……。そ、そんな無欲なことでは、ダメですよ!」
寝室は暗いので、由宇の顔は良く見えないが、きっと照れて赤くなっているのだろう。
「おやすみのキスをしても、いいかい?」
「……はい」
二人は手探りで、互いを求めて抱き合った。
唇を合わせ、心も合わせ、素敵な夢を見るために眠りの国へと旅立った。
体調不良のため、10日ほど休載させていただきます。
なにとぞご容赦ください。<(_ _)>
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