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「ん……もう何度も抱いたというのにまだそんなに初心な反応を見せて俺を煽ってるの?」
「ち、違──……あっ」
「まだまだ躾甲斐がありそうでそれはそれで嬉しいよ、梨々香」
「~~~っ」
慌ただしく夫婦になった私たちは結婚してから恋愛を初めたようなものだった。
知らなかったことをひとつずつ知り、そしてどんな長所も短所も受け入れられるくらいに愛し愛されてこれからの月日を過ごして行く。
「梨々香、君の甘い音色を聴かせてくれ」
「んっ……あ……」
「その声が俺に様々なインスピレーションを与える。君は俺にとって全てにおいての女神だ」
「は、恥ずかしいですよぉ~~~」
彼から芸術家気質の甘ったるい言葉を訊くと時々むず痒くなってしまうことがあるけれど、それにも慣れて素直に受け取ってしまう日がいつか来るのかと思うと中々複雑な心境になったりするのだった──。
初恋前奏曲-FirstLove prelude-(終)
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