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私がした質問に対して久遠寺さんは少しバツの悪そうな顔をした。
(ん?)
とても言い難い雰囲気を醸し出していたけれどジッと見つめる視線に耐えられなくなったのか観念した様子で口を開いた。
「本当のことをいうと……俺はずいぶん前から君のことを知っていた」
「えっ!」
「ネットで色々と検索するんだ。いわゆるエゴサっていうの。そこで度々君の名前が引っかかって自然と【LiLiCa】という名前を目にする機会が多くなった」
「そ、それは……もしかして私のブログを観ているという──」
「うん、観ている。というか読者登録もしている」
「えぇぇぇっ!」
余りにも予想外の言葉に心臓が口から飛び出そうだった。
(わ、私が久遠寺智里の事を散々書き散らかしている禁断のブログをまさか本人がぁぁぁ)
元々はアーティスト・LiLiCa を少しでも知ってもらおうと始めたブログだった。日常生活は勿論、仕事の事や友だちとの事を中心に綴っていたけれど、そんな中でも久遠寺智里に対しての熱い想いを【久遠寺智里】というカテゴリーを作ってまで書き綴っていたのだ。
「そんな君の所属する事務所からアポの連絡をもらった時は驚いた。だって俺はずっと君に会いたいと思っていたから。でも久遠寺智里と名乗って会うには忍びなくて……そんなことを考えている時に運よく連絡をもらったからなんか勝手に勘違いしてしまった」
「え……勘違いって……」
「……」
「久遠寺さん?」
「……もしかしたら君は俺の……運命の人かも──なんて」
「?!!」
(な……な、な、ななななっ)
少し顔を赤らめ、睫毛を伏せてか細く呟くその言葉に私の胸はズキュンッ!と貫かれてしまった。
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