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(なんて……なんてピュアな人なのぉぉぉ──!!)
その瞬間、私も彼と初めて会った時の気持ちが思い起こされてしまった。
「わ、私、も」
「え」
「今更こんなことをいっても信じてもらえないかも知れませんけれど……あの、此処で初めて会った時、中山さんと名乗るあなたに久遠寺智里のイメージが重なって見えました」
「!」
「私がずっと思い描いていた久遠寺智里がそのまま具現化された中山さんを見て……と、ときめきを感じました」
「……」
私の言葉を瞬きもせずジッと見つめている久遠寺さんに不安を覚えた。だけどここで話を終わらす訳も行かなくて続けた。
「中山さんが久遠寺さんだと知った今、こんなことをいっても信じてもらえないかも知れませんけど私、本当に」
「信じるよ」
「え」
「君は嘘をつかないって分かっているから」
いきなり腕が取られそのまま流れるような動作で座っていたソファに押し倒された。
「?!」
「今のは告白だと受け取っていいの?」
「……ぇ」
「俺はネット越しに君に恋していた」
「!」
「君が配信する全ての情報に釘付けになった。最初はただの、その他大勢の知ったかぶりのひとりだと──そういう目で見ていたのに」
「……」
「でも君という人を知れば知る程に他の人とは違うと思えて来た。俺が君を知ってから二年。デビュー曲も購入した」
「! ほ、本当ですか」
「あぁ。素朴でいいと思った。多分、君が俺を『eternal』で想像したイメージを俺も君の曲で想像した」
「……」
「そうしたらいつの間にか君のことが──」
「~~~っ」
久遠寺さんの言葉が嬉し過ぎて涙が出た。
「は?! ちょ、泣かないで」
「だ、だって……だってこんな嬉しいこと……」
「……」
「はぁ……幸せ過ぎてどうにかなってしまいそう……」
「どうにかなってしまいそうついでにもっとどうにかなってみない?」
「……え」
不意に耳元で囁かれた艶っぽい声に私の体は震えた。
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