166人が本棚に入れています
本棚に追加
──そして現在
「とりあえず事務所への報告という結婚に向けての第一段階は済んだね」
「はい」
「じゃあもうしばらくは此処にいられるね」
「はい」
「じゃあそろそろいいかな」
「?」
その時私を見つめる久遠寺さんに艶っぽいものを感じた。
「梨々香、君が欲しい」
「?!」
「君の全てを俺のものにしたい」
「あ……あ、あ……あの」
「ダメ?」
「!」
(なんでそんな寂しそうな目をするの?!)
結婚を決めた相手から求められている。それは充分に解っているし嬉しいことではあるけれど……
(でも、ちょっと待って…!)
結婚を決めたことも急で、しかも実質交際期間は0日。
(どこかの構成作家と女芸人夫婦みたいな展開になっている!)
そんな怒涛の勢いの展開に驚き戸惑っている。
久遠寺さんから熱っぽく求められてどう返したらいいのか戸惑っている内にお姫様抱っこされて地下にある一室に連れ込まれた。
(あ、ピアノが置いてある)
部屋に入った瞬間、目に入ったのが部屋の中心に置かれているピアノだった。
「此処が俺の仕事場兼寝室」
「え」
見渡せば部屋の奥に大きなベッドが置かれているのが見えた。
最初のコメントを投稿しよう!