166人が本棚に入れています
本棚に追加
(怒っている? 怒っている……ん、だよね?)
続く言葉を訊くのがとても怖くて思わず視線を落としていると、いきなり噛みつくようなキスが私を襲った。
(何?!)
押さえつけられている両腕がビクとも動かず、そのまま久遠寺さんからの激しいキスに必死になって応えていると、やがて離された唇は荒い息を漏らしながら新鮮な空気を取り入れようと忙しなく動いた。
「はぁはぁはぁ……はっ……あ」
「過去のことは気にしない」
「……え」
「俺だって清廉潔白って訳じゃない」
「……」
「だからお互い過去のことは闇に葬ろう。大切なのはこれからだ」
「……」
「だから俺はこれから君を俺なしでは生きて行けない体に躾ける」
「! し、躾って」
「ドロドロに愛してあげる」
「~~~っ」
久遠寺さんの妖艶な表情と言葉がまるで媚薬のように私に浸透して行った。
(この人に愛されたい)
ごく自然にそう思ってしまった時には既に羞恥心や緊張感といったものはなく、ただ純粋に私の全てをこの人に捧げたいと思ってしまったのだった。
最初のコメントを投稿しよう!