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「なぁ、言ってることが嘘かどうかわかる方法ってないかな」
「そりゃ簡単だ、明日聞いてみればいいだろ」
そんなことができるはずがない。
ガチだったら……めっちゃはずい。
嘘だったら……俺が哀れすぎる。
くそ。八方塞がりだ。
「何、そんな面白い事案?」
「事案とか言うな。こっちは真剣なんだから」
ああ。どっちにしろ対処の難易度が高すぎるじゃないか。
それにしたって何で今更俺に告白なんてするんだ。嘘じゃなければ正気を疑う。だって……もう15年くらいだぞ? つるんでるの。それでエイプリルフールだよ?
「……なあ亮平、それって結構大事なこと?」
「そりゃぁ、まぁ」
「ははん。さては芽以ちゃんにコクられたんだろ」
「ばっ……何を言う!」
何故バレたんだ。頭はまさに混乱の極み。
「ふぅん。まあ、俺には嘘かホントかわかるよ」
「何でだよ!」
俺にはわかんないのに、俺のほうが付き合いは長いんだぞ。という言葉を飲み込む。恥ずかしすぎる。そんな俺をジロジロと見る凱が憎い。
「そら、わかりやすすぎるもん。でもなぁ今日だもんなぁ。まあ仮に俺がそれが本当だの嘘だの言っても、信じられないだろ? お前。今日だけに」
そう言われると、そうだ。俺はもはやこの世界では真実の見分けがつかない。特に凱がいうことなんて信用できない。
エイプリルフール。何て呪われた日だ。この世の全てが嘘だらけに感じる。一体誰がこんな日を作ったんだよ。
そんなことを思っていれば、凱のスマホがピルんと鳴った。
メールのやり取りでもしたのか、スワイプしたりごちゃごちゃと動かして、面白そうに鼻をフンとならして俺を眺めた。
「おい、わかりやすい方法でやるって」
「わかりやすい? 何?」
「とりあえず校舎の裏の桜の木だよ。貴乃が芽以ちゃん連れて来るから来いって。丁度桜も咲いてるだろ」
そういえば凱と貴乃は付き合ってるんだった。けれどもそれは、グルになって俺を騙しにくる可能性が増加したという事実しか示さない。
「何でまた」
「白黒はっきりさせたいんだろ?」
そう呟いて、凱はまたニヤリと笑った。
嘘くさい。
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