最後の新学期、2度目の新生活

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「おざぁぁすwあれ、だっれもいねえw」 いつものように挨拶するが誰もいない。当然だ。 何連続かはわからない当然となってる一番乗り。 新学期となっても健在だ。 俺はかっこよく箒を取り出す。 きっと執事喫茶にいたら本物の執事に間違われるに違いない。 少し掃き、夏休み中に溜まった埃や塵がわんさかあつまる。やはり放置された結果だろう。これでは皆が気持ちよく授業が出来ない。 俺は全力で清掃に勤しんだ。 しばらくして、クラスメイトの女の子が登校してきた。彼女は一条春(いちじょうはる)。 ガチの美少女でまるで人形。いや、ギャルゲーの世界から出てきたようなそんな佇まい。性格も良く、大人しくで男子からの人気が高い。 無論、俺も機会があれば告白して付き合いたいが、人間中身が大事だからな。 もし、もし彼女が同性愛者でありこっぴどく振られたら俺のメンタルが持たない。 「おはよう」 春がか細い声で挨拶する。 俺はいつも通りの調子で挨拶を返した。 学校が始まったって感じだ。 彼女はもう用済みとなった箒を手に取る。 「掃き掃除は終わったぞ。」 そう伝えると彼女は箒自体の掃除が終わってないと言い、箒の埃を取り始めた。 しまった!あんな美少女にいちばんキタネエ仕事をさせてしまっている!! 「そしたら箒の掃除は俺がやる。少しずらした机を戻して欲しい」 これはこれで力仕事を任せてしまって申し訳ないなと思うが、仕方ない。 「鷺宮くん、体力ないもんね。」 春ちゃんの言葉に俺のメンタルは深く傷付いた。
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