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I need you
パーティが終わって、仲間うちだけで二次会をすると言うみんなとは別れて、ロビーのソファーに腰を下ろして手持ち無沙汰にスマホでパズルゲームをしていた。
「なつ」
と呼ぶ声に振り向くと上田さんがいる。
「おつかれさま」
私はゲームの画面を閉じて立ち上がる。
「お疲れさま。疲れただろ?」
「うん、少しね。上田さんも大変だったね」
「まあね。荷物も多いから、今日は部屋取ったんだ。帰りも遅くなると思ったから」
「そっか。あたしはちょっとラッキー」
と言うと、彼は少し笑う。
「じゃあ、行こうか」
彼はすぐそばに置いていた私のキャリーバッグを手に取る。
「いやいや、いいよー、自分で運ぶから」
「まあまあ」
と返してくれない。
私はあきらめて彼の後ろについて行った。
二十五階の部屋はこのホテルの中では高い階ではないけど、十分に眺めがよくて、大きな窓からはまだ明かりのついたビル群が見える。
私は部屋に入ってすぐにハイヒールを脱いで裸足になって、脱いだ靴をクローゼットにぽいぽいと投げ込む。
「はー、やっと靴脱げた!」
彼はその靴を見て少し笑って、ジャケットとベストを脱いでハンガーにかけながら、
「ちょっと足元ごちゃごちゃしててごめん。気をつけて」
と私に向かって言った。
部屋の中はアルミ製の大きなカメラケースがいくつも置いてあって、
「これ、明日持って出るんだよねぇ?」
と確認してしまう。
「そう、借り物は返しに行かなきゃならないし」
ネクタイを襟から引き抜いてワイシャツのボタンを外しながら、ちょっとため息をつく。
まだまだ彼の仕事は終わらないらしい。
「おお……お疲れさま」
私が振り向いて目をパチパチさせると、彼は面白そうに笑って、ハーフアップにしていた髪をほどいた。
「まあ、ちょっと落ち着かないかもしれないけど」
「ううん、大丈夫」
私は裸足のまま、編み込みにしていた髪をほどきながら窓に近づいて、外の景色を眺めた。
近くのビルはオフィスビルのようだけど、まだ明かりのついた窓がちらほらと見える。
もう夜も遅い時間だよ、と思ってしまう。
「なつも疲れてるだろうしと思ってたんだけど……だから、急になってごめん」
「あ、ううん」
「そのドレス見たら」
ふと、すぐ後ろに上田さんが近づいて、肩から二の腕を指で撫でる。
「え?」
首の後ろでリボンを結んでるホルターネックの黒いワンピースは背中が大きく開いていて、ちょっとセクシーかもとは思った。
胸元は裏地がついているけど総レースで、パッと見では肌が透けているようにも見える。
でもスカート部分はふんわりとしたAラインで、セクシーさとかわいらしさがバランスよく合わさったワンピースだと思う。
「……脱がせてみたいなって」
私の後ろ髪を左肩に流して首の後ろのリボンに触れるけど、すぐにはほどかない。
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