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胸の奥がきゅーっと締めつけられて、私は彼の肩にぎゅっと抱きついた。
「うえださん……あたし、も……あたしも、好き……」
何度も深くキスをして、私の中にある彼の指がより深くを求める。
「ふっ…ん…あ……あっだめ、いくっ……いく……!」
何度も身体が跳ね上がり、硬直してしまう。
彼の指をきゅうきゅうと締めつけているのが自分でもわかった。
「はあっ……あ……」
全身の力が抜けてしまって深く息をつくと、彼は私のショーツをはぎ取って、とろとろになった脚の間に口づける。
「やっ…それ、だめって……ああっ……!」
愛液で濡れた敏感な花芯を舌先で舐めて顔を上げる。
「じゃあ、挿れてもいい?」
と聞かれてすぐに首を縦に振ると、彼は少し笑う。
私の脚の間に入り込んで、身体を繋ぎ合わせた。
「なつ……すごく締まる……熱いな」
「んん…っ……だって、気持ちいい……から…ぁ……」
私の奥深くを突いて、ゆっくりと引いてまた深く貫く。
私はもう言葉にならない声を上げることしかできなくなる。
それなのに彼は私の頬を撫でてゆっくりと深く抱きしめる。
「はっ……あ……あたし、おかしく、なっちゃう……」
彼を見上げたら、すごくやさしい顔で微笑んでくれる。
「……なつ、名前呼んで」
「んっ、秋成さん……秋成さんっ……」
限界が近いような、もう限界を超えてしまっているような気もする。
何度セックスしても、もっとほしくて、いつもせつなくて。
私たちはセックスではじまって、そしてセックスをするたびに近づいていけるような気がする。
荒っぽく抱き上げて向かい合わせに抱き合う姿勢で、おしりをつかむようにして下から突き上げられる。
私は彼の肩にしがみついて、うわ言のように彼の名前を呼び続けた。
ふと、彼の動きが止まる。
「あっ…あっ……あ……」
「なつ、大丈夫?」
「んっ…あ……」
「……わかる? ずっといきっぱなしだ」
「や…ぁ……んっ……」
ぴくりぴくりと彼と繋がった部分が痙攣するのが自分でも感じられた。
でもそれを止めることなんてできない。
「ああ……そろそろ、限界」
彼は少し苦しそうに眉を寄せて、ため息をつく。
「んんっ……いって…秋成さん……」
また私を仰向けにしてその上に彼がおおいかぶさるように抱きしめた。
「なつ……なつ…っ……」
「あっ秋成さん…っ……あきなりさ…あ…っ……」
きつく抱き合いながら、腰だけは最奥を求めて打ちつけ合う。
「ああ……なつ…っ……!」
「あっ…はあぁ…っ……!」
私の中で彼が何度も脈打つのを感じながら、身体の力を抜いて目を閉じた。
先にシャワーを浴びて戻ってきた彼が、私の頭を撫でる。
「……今日は、ちょっと」
枕を抱くようにしてうつ伏せで寝ていた私の横に彼が座って、頭を撫でていた手が髪をたどって背中へとそっと滑っていく。
「なに?」
「なんか……なにが違うってわけでもないけど」
でも、いつもよりもなんだか熱っぽいセックスだったように思った。
何度も私の名前を呼んで、そして私に彼の名前を呼ばせて、抱いているのが私であることを確かめてるようだった。
……それはさっき、あの人に会ったせいもあるのかもしれない。
ふとそんなふうに思ったけど、それは口にしなかった。
「そう?」
と、彼は笑うけど。
私もシャワーを浴びるために起き上がった。
「ちょっとね……ね」
「うん?」
「……ここは、まだ痛くなるの?」
と、彼の胸に手のひらをあてると、肌のぬくもりの向こうに心臓の鼓動が感じられる。
「……なつ」
私の手の上に彼の手が重なる。
彼の表情には、またあの頃の儚い色が浮かんだ。
「……あたしは、……」
何かを言おうとして、でも言葉にならなくて、口をつぐんだ。
強くなりたい。
この人の傷を治してあげたい。
この人の痛みを癒したい。
でも、そんなことができるのかどうかわからないし、そんなことおこがましいのかもしれないと思って、何も言えなくなった。
「なつ……そばに、いてくれる?」
彼はそう言って、少しはにかんだような、でもやさしい表情で微笑む。
そこには、今浮かんだ儚い感じは消えていた。
私は笑顔になって大きくうなづく。
「うん、もちろん」
それだけは、力強く答えた。
そばにいたい。
誰よりも近くにいたい。
「上田さんがもういいって思うまでは、そばにいるから」
「……そんなふうに思うことがあるのかな」
と、彼は私の肩を抱きしめた。
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