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私は胸騒ぎよりも大きな、強い、胸の高鳴りを感じた。障子を開けて、遠く向こうの、山の向こうに目を凝らす。
見える。
視えない目にも確かに感じる。私を護ってくれる強い力。
「天野くんだ!」
私もまた、諦めたはずの彼の心を感じた。強く優しい、あの頃と変わらない彼の熱を感じた。
繋がっている。
彼は生きている。それが分かる。
「みなさん、聞いてください!今、遠く西の方に戦いがある。負けられない、そして決して負けない戦いです。私はこの戦いのために祈ります!だから、助けて、そして決して負けないで!!!」
お守りは私達を繋いでいる。約束が私達を繋いでくれている。みんなも応援してくれている。あの頃と違う、私達を支えてくれているんだ。
あの人はどれだけ苦しくても負けない、無鉄砲な人なのに、そんなことも霞んじゃうんなんて、彼女失格だ。
私は全力で祈る。その声に衛士たちが動き出す。そしてどんなに遠くても、今は強く感じる。
彼の鼓動。
たしかに、感じる。突き上げて、
今、放つ。
「いけえええ!!!」
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