2人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
「巫女殿、いや、森野さん。相談があります。」
「なんですか、橘。」
「次の作戦は、非常に危険が伴います。私情でしか無いのですが、私はあなたには参加してほしくない。」
「巫女に行く場所など無いのです。もう誰かが傷つくのなら、私が死んだほうが良い。」
「そう思ってほしくないのです。あなたが我々の希望なのです。」
「目が潰れているのに!?相手も見つけられないのに!?」
「それでも、です!」
「軽はずみに言わないで!」
「決して軽率に慰めるために申しておりません。みな、あなた達巫女さまが美しく強く優しい心を持ち合わせているから、護りたいと思うのです!天野様もそのはずです!!」
「その名前を出さないで!!」
橘は思わず黙ってしまった。森野は目を伏せて、小さくつぶやいた。
「もう、私ごと忘れてもらうことにしたんですから、私も忘れることにしたんです。やめてください。」
「出過ぎた真似をしました。ですが…!」
「橘、下がってちょうだい…。」
涙が流れないそのガラス玉の透き通り方を見て、橘はただ下がるしかなかった。
最初のコメントを投稿しよう!