逝く春

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 それからふたりは一緒に過ごす時間が増えた。周りは気味悪がった。天野には時折、不可解な事故が起きたが、それでも彼は森野に笑顔を見せた。すでに親もなく、ひとりで生きる森野に周りに、そんな人は誰もいなかった。いままで一度も感じたことのない胸の熱を感じた。  大晦日の夜、天野は、親に嘘をついて、森野と初詣に向かった。ふたりでおみくじを引いて、お祈りをして、二人きりになれる大木の下で初めてキスをした。  そして、その夜【敵】が彼女の前に現れた。  
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