4人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
入ってすぐの通路を抜けて、馬が走るところの近くまで行った。
「こんなに近くで見られるんですね」
「そうですね。ここで見てると最後馬たちが目の前を通る時、ドドドドドドドって大きな音が聞こえますよ」アズマさんは馬が通ると思われる場所を指差す。
「天気もいいですし、外に席をとりましょう」アズマさんはそう言って屋外の席に、ピクニック用のシートを敷く。その上にスポーツ新聞と水を置いた。
「すごい用意がいいですね」
「初めてではないので…まあ…」照れたような不器用そうな顔を見せる。
「席も確保できたし、お昼にしましょう」
テキパキと段取りよく物事を進めていく。慣れているのかしら、それとも色々考えてくれていたのかしら。
有名店のキッチンカーがいくつか出ていた。アズマさんも私もカレーを注文した。
「フェスみたいですね」私が言った。
「フェスですか。ちょっとそういうのは行ったことなくて。楽しいですか、フェス?」
「いや、私も友達の受け売りです。すいません」
余計なことを言ったと後悔した。
最初のコメントを投稿しよう!