言えるわけないし、言わないでと言われた秘密

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「なぁ、これアイツに絶対に秘密にしておいてほしいんだけど」 「はい?」  突拍子もなく言われた言葉に私は固まる。  そんな私の反応は全うだったと思う。  今日は今言葉を発した斗真(とうま)と私、彩芽(あやめ)の二人で私の彼氏である陽太(ようた)を先ほど家に送り届け、後は私が送ってもらうだけって時にお互いに小腹が空いたから牛丼を食べてから帰るかってことになり、牛丼を食べ終えて車に今りシートベルトを締めた瞬間、という何とも謎のタイミングでの言葉だったからだ。  あまりにも急すぎたのと、車内の中は私たち二人きりだしってことで手に汗がじわりとにじんだ。なんてったって、私たち二人は、友達とはいえ大人の男女なのだから。 (いやでも、さすがにこいつは親友を裏切る奴じゃない)  なんせ、今日は陽太も交えて3人で遊びに行ったのも「私、正式にプロポーズされたから今後二人で会うの最後ねー」という報告をしたところだからだ。元々私と斗真は大学時代から仲が良く、陽太は彼氏無し歴=年齢の私に斗真が紹介してくれた男性だった。思った以上に趣味も合い、意気投合し、陽太から告白をしてくれ、数か月つきあったのちにプロポーズされた。なんとなく私もビビっときたっていうか、この人が運命の人だと思ったし、最高に幸せ絶頂という気持ちだった。  それを斗真に報告したところ案の定あんぐりと口を開けて驚いたのち「俺のキューピットぶりに感謝しろよ!??」と私たちに吠えていたという、とても面白い反応をしてくれて大いに笑い、私は今結構笑い疲れと遊び疲れとお腹いっぱいで半分眠たいといった状態でもあった。  遊びに来ていた車が斗真の車だったので「まぁ、情けの最後ってことで、俺の未来の嫁をよろしく」と陽太が託して、今、私は斗真に送ってもらっている、という状態が、今だ。  だから陽太公認だし何もやましいことなどないのだが、なんというか、斗真の切り出し方と放つ雰囲気が今まで感じた事の無いようなものだったので私は物凄い緊張してしまっていた。 「まぁ、おまえの家に車走らせながらしゃべるけどよ」 「はい」
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