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第7話 見習いと魔女と狂人
「これは何の真似ですか？」
硝煙を吐き出す銃を手にしているのは、紛れもなくウルバノだ。
問いかけに、男は薄く笑った。
「見ての通りだよ。火の魔女と内通した審問官見習いを、粛正しにきたのさ」
「火の魔女なんて存在しませんよ。あなたが作りだした、架空の魔女だ」
つい先刻まで、その考えに確信があったわけではない。
だが、これまでのウルバノの言葉に、違和感を覚えていたのは事実だ。
それが気のせいであって欲しいと願っていたが……状況は、アルヴィンの考えを肯定していた。
重々しく息を吐き出すと、ウルバノを見る。
「初めて現場を訪れたとき、妙な違和感があったんです。魔女の仕業だというのに、魔法の痕跡が一切感じられなかった。他の現場もそうです。そして、これが落ちていた」
アルヴィンの手に握られているのは、昨日クリスティーに渡された紙袋の中身と同じ物だ。
審問官のみが所持を許される── 拳銃の、弾丸である。
被害者の身体を貫通し、現場に落ちたのだろう。
「あなたは銃で殺害した被害者に油をかけて焼き、架空の火の魔女を作りだした。そしてクリスティー医師の目撃証言をねつ造することで、スケープゴートにしようとした。違いますか？」
アルヴィンの追及に、ウルバノは唇の端をゆがめた。
「この街に、審問官は他にもいる。弾丸が落ちていたからといって、俺だと断定するのは早計だろう」
「そうですね、それは認めます。ただ、教会法をないがしろにするような言葉に、違和感があった。だから昨日、遺留品を渡したんです。もしあれがあなたの物なら、こうして口封じに来ると思いましたよ」
決然とアルヴィンは言い放つ。
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