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学院は、創立者の名前からオルガナとも呼ばれる。
そこは魔女を駆逐するための、審問官の養成学校だ。
アルヴィンはそこで、一字一句まで暗誦させられた教会法を思い出した。
審問官の行動は、教会法によって定められた、厳格な規則に縛られている。少しでも逸脱すれば、即刻破門される厳しいものだ。
魔女を駆逐するための原則とは、魔女であると自らの意思で告白させること。そして魔法の行使を現認することだ。
その双方が揃わなくては、審問官は魔女を狩ることは許されない。
「教会の上層部は、現場を知らなさすぎるんだ」
ウルバノの言うとおり、それは現場の審問官からは極めて不評だった。
実際、後出しジャンケンを容認するかのような規則であり、攻撃を受けてからでなくては反撃もできない。
「魔女は狡猾だ。確認に手間取っている間に、首を飛ばされる。そんな仲間を、俺は何人も見てきた」
ウルバノは顔に、沈痛な色を浮かべる。
「教会法など、お偉方の免罪符にすぎないのさ。もし魔女と対峙したら、迷わずにこいつを使うんだ。言質なんて必要ない、理由は後からいくらでもつけられる」
ウルバノは肩に羽織ったカズラをチラリとめくって見せた。
左の胸元に、ホルスターに収められた回転式拳銃があった。聖職者が持つにしては不釣り合いな、物々しさを放っている。
銃は、審問官のみに所持が許されている。
彼らが相手にする敵── 魔女の圧倒的な力と渡り合うには、必要不可欠な武器だ。弾丸によっては、大型動物すら仕留めることのできる威力を持つ。
「お前は随分自信家のようだが、規則に固執して殉教するような真似だけはよしてくれよ」
「規則は守りますよ。その上で、駆逐するだけです」
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