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「せ、んせ…電気、つけませんか?」
恐る恐る聞いてみる。
本当に暗くてほとんど周りのものや先生の顔が見れない。姿はシルエットで見えて、近づいてきているのがやっと分かるくらい。電気がついたら道具も見つけられて色々解決なのに、一向につけようとしない。
「ん?必要ないだろう。すぐ出るんだから」
……すぐに出るなら、今すぐにでも外に出たいんだけど。
寝不足で、頭が上手く回らない。暗くてどこに動いたらいいのかわからない。
先生はきっと純粋に心配してくれているだけなのに、なんで自分はこんなに怯えているんだろう。
「ほらこっち向いてな。熱はどうだ?」
「あの、ほんとに大丈夫なので……」
距離がほとんど無くなり、本棚にぴたりと背中がくっついた。
自分の身長は170センチで高くも低くもないが、先生はそれよりも大柄で身長もある。暗いのもあると思うけど、どうしても怯んでしまった。
固まって動けないでいると、ふと先生の掌が首筋にふれた。
「ひゃ……っ」
触れた手が冷たくて驚いて変な声がでてしまう。
触られたところがゾワッとして、肌が粟立つ。
動こうにも距離がつめられていて身動きが取れない。
寒気がする。
「悪い、驚かせるつもりはなかったんだ。しかしやはり少し熱いかもな、もう少し見るから大人しくしていなさい」
「えっ……」
先生はそう言うと俺のネクタイを下にさげて、プチ、プチとワイシャツの第二ボタンまで外した。
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