8人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
うれしいな!
なんと今日は僕の誕生日!
五月一日は毎年特別なんだ。もちろんご馳走三昧なんだよ。あいちゃんとあいちゃんのお母さんが、僕のために大盛りの鰹の缶詰と鰹節を用意してくれるんだ。ああ、もうよだれが出る。
「はい、ダイアン」
あいちゃんがさっそく大盛りの鰹缶をもってきてくれた。
いただきます!
ぼくはお皿にむしゃぶりついた。
「はい、大吉ちゃんも」
そうそう、このあいだ保護した子猫は大吉と名付けられてあいちゃんの家族に可愛がられている。
大吉も嬉しそうに鰹缶にかぶりつく。
大吉は僕のかわいい弟分みたいなものだ。
腹一杯食べたらお昼寝だ。僕らは押し入れに入って丸くなった。
心地よい眠気に誘われる。
うっすら目を開ける。
周囲がぼやけて見える。
何時間寝たのかな。
僕は大きく四肢を伸ばした。
「ダイアン起きたのね」
あいちゃんが僕の顔をのぞき込む。
僕はあいさつがわりに、舌であいちゃんの鼻をペロッと舐めた。
「ダイアン」
そう言ってあいちゃんは微笑み、僕の背中を優しく撫でてくれた。
僕は真っ先に顔のお手入れをはじめる。
まず襟首や背中、からお腹にかけて入念に舐めた。それから右手を舌で舐めて、お顔の右半分を入念に擦り、それがおわると今度は左手を舌で舐めてその手で顔の左半分を擦った。
ああすっきりした。
お水でも飲むか。
僕は押し入れからゆっくりとジャンプして、あいちゃんが置いてくれている低めの椅子に飛び降りた。それからポンとカーペットの上に着地して、前足を伸ばして腰を上げ、背中を伸ばした。
水飲み場はキッチンの窓側に用意されている。あいちゃんか、あいちゃんのお母さんがいつも新しい水を入れてくれているんだ。
どっこいしょ、水飲み場にゆっくり歩いて行く。
器の水が新鮮なのがすぐに分かる。
ペロペロとお水を飲んでいると、大吉もやってきた。僕は大吉に場所を譲る。生後三ヶ月の大吉は僕を兄貴のように慕ってくれる。
こいつは可愛いんだ。それにすごく甘えん坊なんだ。
僕がリビングのソファーで寛いでいると、水を飲み終えた大吉が、遊ぼうよ、と言って飛びかかってきた。僕はしばらく寝転がったまま大吉の遊び相手をしていたけど、大吉は元気いっぱい。僕はキッチンに飛び出した。そしたら大吉も負けじと僕を追いかけてくる。
僕は追いつかれまいと、冷蔵庫の上に飛び乗った。さすがにこれはベテランの技、僕にはまだまだ追いつけないね。そう思いながら余裕かまして下を見下ろしていると、冷蔵庫近くのテーブルの上に上がってきて、そこから冷蔵庫目がけてジャンプしようとした。
「はい、追いかけっこはここまでよ」
その時、あいちゃんが大吉を片手で抱きかかえて捕獲。
「ダイアンも降りてきて」
リビングに呼ばれた僕は冷蔵庫から飛び降りてあいちゃんの後を追う。
僕と大吉はむりやりピンクと水玉の帽子を被せられた。
「みんなでダイアンの誕生日の写真撮るわよ」
パシャ!
続く
最初のコメントを投稿しよう!