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朝。鳥の鳴き声と忌々しい携帯のアラーム音により目を覚ます。
安眠を邪魔されたことに少し不機嫌になりつつも、学校へ行く支度を始めようとした所、誰かが勢いよく階段を駆け上がってくる音が聞こえてきた。
その音は部屋の前で止まったかと思うと、勢いよく扉が開かれる。
「よっ、よぉ…」
「お、おはよう…」
尋ねてきたのは、息を激しく切らしたヨルだった。
彼女は胸に手を当てて呼吸を整えてから、顔をこちらに向けた。
「た、頼みがある…」
その一言で、俺は全てを察した───。
「可愛いねぇ〜」
「知ってます。私もあなたなので」
服だけ着替えて、急いで向かったヨルの部屋には、アサと…。見知らぬ小さな少女がいた。
灰色の髪で、無表情のままこちらを見てくる。
俺は少女を知らない。だが、俺の中の細胞と本能が叫んでいる。
「ヨル、なのか…?」
俺の問に対して少女はVサインで返してくる。
アサは少女に触れて遊んでいる。ヨルは手を額に当てて苦い顔をしている。
「…じゃあ、アサとヨルがいるから、ヒルちゃんで…」
「ん、分かりました。今日からよろしくお願いします。お姉ちゃんたち」
「あぁ〜ん!ヒルちゃん可愛いぃ〜!」
新たに生まれた三人目のヨル。もとい、ヒルは、満足気な顔で俺たち三人にお辞儀をした。
どうしたもんかと考えていると、ヨルと目が合った。ゆっくりと互いの顔を見合わせて、口を開く。
もちろん、言葉は決まっている。
「「絶対に秘密だぞ…」だろ?」
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