*27 ほんとうのはじめて

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*27 ほんとうのはじめて

 光輝は俺にむしゃぶりつくようにキスをしながら、ぎこちなく不器用に引き剥がすように服を脱がせていく。放り出されていくシャツに構うことなく唇に、首筋に刻むように口付けてくる。  これまでに抱かれてきたどの相手よりも、俺を愛したい感情を剥き出しにぶつかってくる様が新鮮で、その純粋さに痺れてしまう。  俺の後頭部に手を宛がいながらゆっくり組み敷いていくあたり、光輝のやさしさを感じるのだけれど、触れてくる指先からも緊張していることが伝わってくる。  息荒く俺に覆い被さろうとしてくる光輝の胸元に手を宛がって制止し、彼をなだめるように訊ねた。 「あのさ、光輝……お前、セックスしたこと、ある?」 「あ、えっと……すみません、下手くそすぎますよね、俺……」 「いや、そういうワケじゃなくって……そのー……もしかしてさ、光輝がリードしなきゃって思ってる?」  確認するつもりで訊ねた言葉に、光輝が真っ赤に染まっていく。いまふたりは、お互いに肌着をまとうばかりの姿になっているのだけれど、そこから透けるほどに赤い。光輝は恥ずかしそうに顔を反らしながら、「……一応、勉強は、してきたんですけど……」と呟く。  その健気さとひたむきさが愛しくて、俺は身体の奥がキュンと切なくなって彼がどうしても欲しくて仕方ない。視界の端の方にチラつく屹立の影に喉が鳴る。  十九のまだあどけなさも残る、真面目でひたむきに俺のことを思って来た彼の胸中を想うと、俺もまた悦びで動悸が早くなっていく。  だから俺は、組み敷かれた位置から光輝の昂り始めた屹立を下着の上から撫でながら、こう囁いてやった。 「じゃあ、俺に勉強してきた成果、見せてよ」  ゆったり微笑みかけながら、光輝が俺の胸元をまさぐりかけていた手を取り、それをそっと俺の下腹部へといざなう。導いた指先は微かに震えてもいた。 「光輝のやり方で、俺を気持ちよくさせてみせて……出来たら、ご褒美あげる」  光輝は俺の囁きにこっくりとうなずき、恐る恐ると言う形容がぴったりな慎重さで、丁寧に俺がまとう肌着などを脱がしていった。  すべてを剥き出しにされた俺はすぐそばのチェストの引き出しからローションとコンドームを取り出し、光輝に手渡してやる。 「使い方、わかる?」 「だいたいは」  真面目な表情でそう肯く光輝の頬を撫でながらキスをし、「へぇ、優秀じゃん」と言うと、光輝ははにかむような顔で笑った。  現世では初めてとなる俺の裸体を前にした光輝は、目を見開いてあからさまに興奮した様子で喉を鳴らし、一層呼吸を激しくしていく。 「……きれいです、快人さん……シデーリオ様で見た時より、ずっときれいだ……」  うっとりとした惚けた表情で光輝はそう囁き、おもむろに俺の首筋に舌を這わせ始める。  先ほど手渡したローションが、右手のひらの中で温められて早速組み敷かれた俺の秘所へ指先と共に挿し込まれる。指先は俺のナカを探るようにそろりとなぞり、ゆっくり丁寧に奥へ入ってくる。 「ん、んっは……」 「痛くないですか、快人さん」 「大丈夫……慣れてるから……」  俺の言葉に光輝は複雑そうな顔をし、そしてこう呟いて一層深くナカを探り出す。 「そんなの、俺がすぐ忘れさせます……絶対」  低い声に俺のナカが疼いたのは、彼に食べられたいほどにすでに欲してしまっていたからかもしれない。  触れられているところからくちゅり、くちゅりと小さな濡れた音が聞こえるが、いままでしてきたセックスの中では格段に大人しく丁寧すぎるくらいだ。  なのに――俺はいま息苦しくなるほどに呼吸が荒くなっている。 「ッは、あ……ン……上手い、よ……光、輝……ッあ!」 「快人さんの、ナカ、アツい……これ、ローションのせいなんですか?」 「わか、ン、なぁ……! ッあ! ッはぅ!」  未経験ゆえの探求心と言うやつなのか、光輝の指先はためらいがなく、俺のナカを隈なくまさぐってくる。その動きが的確に俺の弱いところを突いて来るのか、それともこれが愛し合っている相手に抱かれる快感というものなのか、ただのふれあいだけで、挿入もしていないのに感度が桁違いなのだ。  俺の屹立もまた熱が集中していたいくらいで、じんわりと先走りをこぼしてもいる。よだれのように糸を引き、俺の腹の上に垂れていく。  それに、光輝が気付いてしまった。嬉しそうに上気した頬を緩ませ、俺にキスをしてこう言った。 「嬉しい……快人さん、俺のこと、感じてくれてるんですね……」 「ッま、だ、入れてないんだからな……これから、だか、ら……」  なんのマウントを俺は取っているのか、光輝に対してまだ自分は余裕があるような素振りをしてしまう。きっと、無駄に経験豊富だと思われているであろう、無意味な意地のようなものが働いているのだろう。  ここで簡単に達するようなことにはなりたくない……なんて、冷静に考えれば、バカらしいプライドが俺の頭をもたげているのを、まるで見透かすように光輝は俺に挿し込む指を増やし、さらに空いている左手で屹立を扱き始めた。  同時に与えられる刺激と快感に俺は背を反らして悲鳴をあげる。
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