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*28 最後に見たものは
絶頂の嬌声と共に俺がぐったりと崩れかかったものだから、光輝は俺が本気で腹上死とやらをしたのかと思ったらしく、繋がりも解かないまま俺を横たわらせて必死に名前を呼んでいた。
「快人さん! 快人さん!!」
「……ん、ンぅ……?」
意識を飛ばしていたのはほんの一~二分の間だったかと思うのだけれど、光輝はさっきまでとは違った感情で目を潤ませて泣きそうな顔をして俺を見つめている。
ぼんやりとする視界と意識のまま、泣いているとわかる光輝の方に手を伸ばすと、その手を握りしめられて抱き起された。
「よかった……快人さん、俺のせいで死んじゃったかと思った……」
「ッはは……死ぬほど気持ち良くはあった、かな……ん、ンぅ……光輝?」
抱きしめられながらまだ体内に残る違和感に気づいて光輝の方を見ると、光輝はバツが悪そうな顔をして顔を赤らめ、「すみません……まだ、挿入したままで……」と呟く。
いくら慌てていたからって挿入したままって……と、呆れていると、確か吐き出して熱を失ったはずのそれが、再び息を吹き替えていくのがわかる。
「え、ちょ……光、輝……ッあ、ン……また、大き、く……」
「ッは、あ……快人さんのぐちゃぐちゃなナカ、すっげぇ、気持ち、い……」
「あ、っや、え、あ、んぅ! っは、あぁ!」
「ごめんなさい、もう少し、付き合って、くださ、い……ッ!」
重い衝撃が快感に痺れて動けない身体に挿し込まれ、俺はそれに痺れて呼吸を失う。縫い透けられるように組敷かれ、抑え込まれながら雄芯を突き立てられる感触に俺は思考がバラバラにされていく。
濡れたぬめった音が部屋いっぱいに響き、間に俺の喘ぎ声がこぼれて落ちる。肌と肌がぶつかり合う音と溜め息だけが、ふたりの言葉に成り代わっている。
嬌声とも悲鳴ともつかない声をあげながら、再び俺が絶頂を迎えた後、俺はまた意識を飛ばしてしまったのだが、今度はすぐに目覚めることは出来なかった。
――するするとした肌触りのシーツの感触に最初に気づいた。
意識がゆっくりと覚醒していくと、次第に視界が開け明るくなっていく。
はっきりしていく意識につられるように目を開けると、そこは今までに何度も見てきた景色、そしてその窓際で俺が目覚めるのを待ちわびている逞しい日に焼けた肌の大きな影は、あれは――
「どうかお幸せに、シデーリオ様」
微笑む声に俺がうなずくと、影はヒマワリのように笑った気がした。
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