Prologue

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Prologue

「絶対に秘密だよ」  湿った体育館の用具入れの中。私に身体を押し付けるようにして囁くのは、クラスでは生真面目で有名な男の子。私のボブにした黒い髪が彼の手が当たって、サラサラと揺れる。  私達は古びた扉の隙間から、体育館の男女2人を覗いている。今からキスでも始めそうな程の甘い空気になっている2人は私達にとってそれぞれ大切な人だった。  この状況下で私を警戒する眼鏡の彼に、私はこの現状をきちんと理解していて、敵意はないことを示さなければ。 「わかってる。教育実習生と生徒の恋愛なんて、絶対にバレたらダメだもんね」 「その通り」  焦っている彼の事情は知っている。きっと目的は私と正反対。 「あのね。私、2人のこと応援してるの」 「“僕の兄”と”君の親友”の恋愛を応援してるーーってコト?」  2人の関係を嫌悪しているかのような声。彼のことはあまり知らないけれど、彼にもきっと事情がある。だから私はこう提案した。 「うん。でも、お互いに今2人の関係がバレるのは良くないと思うよね。だから、2人が付き合うにしろ別れるにしろ、このことが皆にバレないように私達は協力、しよ?」
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