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翌日、冷たい雨に打たれていたせいか、私は熱を出して休んだ。
金曜日を休み、土日を経た月曜日。
どんな顔をして会えばいいのか、期待と不安と羞恥を胸いっぱいに膨らませて、私はためらいがちに教室に向かった。
土日の間、私と志野くんが会うことはなかった。熱が下がってから公園に何度か足を運んでも、志野くんの姿はそこになかった。
いつ来るのかな、もし来たら今日こそ教室で声をかけて返事をもらおう――志野君は、どんな反応をするだろう。
頬杖を突きながら窓際前方の空っぽの席を眺めながら朝の時間を過ごした。
先生が来ても、志野くんが登校してくることはなかった。もしかして、わたしと同じで、風邪を引いたんだろうか。そういえば志野くんは、私を追いやるように家に帰らせてからも、公園にとどまっていたみたいだった。
――雨具代わりに私の頭にコートをかぶせるような粋なことをするから。その癖私から奪ったスマホを返し忘れるんだから仕方がない。
家に置いたままのそれを今日こそ公園にもって行ってスマホと交換しようと心のメモに記しながら過ごした。
翌日も、その翌日も、そのまた翌日も、志野くんは学校に来なかった。そのことを、先生さえ話題に出さなかった。
まるで志野くんの存在が完全に透明になって、そうしてとうとう消えてしまったように思えて、背筋に寒気が走った。体が震えた。
言いようのない恐怖を覚えながら、ふと、何気ない会話のふりを装って、友人の咲夜に聞いてみた。
――志野君は、今日も休みなの、と。
「え……何言ってるのよ。冗談はやめ――あ」
果たして、彼女の反応は、私の予想もしないものだった。
驚愕。怒り。無遠慮を責めるような厳しいまなざし。何かを思いつき、きゅっと唇をかみしめるような動き。
ためらい、視線を虚空にさまよわせる。
言いたくないけれど、言わないといけない――迷いながらも、彼女はゆっくりと口を開く。
それはまるで、刑を宣告するかのような厳かで、そしてどこか沈痛な響きを持っていて。
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