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ひらがなorカタカナor漢字
字面を結構気にする質です。
「阿透さんの使う言葉って難しい」とたまに言われます。これは見慣れない言葉やルビがないと読めない漢字を多用しているという意味での難しいだと思います。たしかに、わかりやすさよりも表現や文体を重視するので難しくなりがちです。
「曹達水」という字面が好きなのですが、読めますか?
これは「ソーダすい」と読むのですが、ルビがなかったら普通に初見殺し。
「ソーダ」とカタカナ表記が一般的ですが、「曹達」と漢字表記にすると文学的な感じや雰囲気がでますよね。なので、作品によって表記を変えるようにしています。
自作だと例えば、『青褐のカンパネルラ』や『行合の空は薄明に踊る』は文学色の強い作品なので、「青宝玉」や「凌霄花」など漢字を多用したり、カタカナ言葉を敢えて漢字で書いたりしています。(青宝玉とはサファイアのことです)
『素敵な同居人』や『神様の前奏曲―プレリュード―』は自作のなかではエンタメ寄りなので、わかりやすさを重視しています。
情報量と詳細性の章でも書いたように、文章を書くうえで語彙は大事な要素の一つですが、使う言葉とその表記と作風が合っていなければ、作風としてアンバランスになってしまいます。
また例文をだします。同じ文章を表記を変えて違いがあるか見てみます。
①星空にシリウスがきらめく。
②星躔に天狼星が燦めく。
①は読みやすいし、わかりやすい。②は難しいけど①とは違った雰囲気がありますよね。(星躔、天狼星と読みます。星躔とは星空のことで、天狼星とはシリウスのことです)
純文学を書く時に①と②の文章どちらを使いたいでしょうか? また、ラノベを書く時は①と②の文章どちらが合うでしょうか?
このように書きたいジャンルや文章表現によってひらがな、カタカナ、漢字を使い分けると作風がでます。また、ライト系なのに要所で(例えば情景描写だけとか)文学的な表現をすると、そのアンバランスさがかえって効果的な役割を果たしてくれることもあります。
文体や作風は個性の一つなので意識的に変えることは難しいですが、私は作風を作るときは字面から入るようにしています。
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